ご家庭ビデオ編集と共有をおさらいする

訳あって、ご家庭用のビデオカメラやスマホ等で撮影した動画を編集し、何人かに配るためのメディアを作ることになった。複数の動画を編集してひとつにまとめること自体は慣れた作業なので特に問題はないが、今回は長さが1時間半程度と長いこと、内容の関係で、複数のシーンを頭出ししたいという要望があること、広く公開するものではないということから、YouTubeなどを使わず、DVDにして欲しいということだった。

元素材は16:9のHD画像なので、一旦Premiere Elementsで編集し、音声トラックだけ取り出してProToolsで修正し、再度Premiere Elementsに取り込んで、まとめて一本の長いMP4にレンダリングする。この段階で依頼者に観てもらって、何度か直しが入る。とにかく長い動画なので、一往復に時間がかかる。依頼者とのやり取りもネット経由になるので、ffmpegで画質を落とした動画を作ってGoogle Photoで共有する。まあ、この辺りまでは何度もやっていることなので、スムーズに事が運ぶ。

動画が出来ると、次はDVDにするためにオーサリング・ソフトというものを使う。最近はめっきりDVDなど作らないので、昔ドライブを買った時についてきたソフトを引っ張り出して、思い出しながら使ってみる。まず、MP4は受け付けないので、PremiereからMPEG2でレンダリングしなおし。メニューやチャプターの設定をして、背景画像などを作りこんで、さてISOイメージに書きだそうとすると途中でエラーになる。エラーメッセージからはすぐに理由は分からなかったが、どうやら4.7GBのメディアに収まらないということらしい。ビットレートを下げれば収まるのだろうけど、下げ過ぎると画質が劣化する。ビットレートを下げてMPEG2を作り直すと、メニューもチャプターも全部やり直しになる。丁度良いビットレートを求めて、これを何度も試行錯誤する気にはなれない。

ちょっと待った。今時のレコーダーなら、大抵Blu-rayを再生できるんじゃないだろうか? 元の動画と同じビットレートレンダリングしたMP4の完成動画が13GBなんだから、Blue-rayなら問題なく収まるだろう。というわけで、依頼者経由で配布先の方々にBlue-rayが再生できるか聞いてもらった。

回答を待つ間、Blue-rayをオーサリングする方法を検討する。先にDVDのオーサリングを試したソフトはBlue-rayもサポートしているが、あまり使い勝手が良くないのと、DVDとBlue-rayではデータが共有できないので、もし同じ内容でDVDとBlu-rayの両方作るとなったら同じ作業を二回行うことになる。それは避けたい。

いろいろ調べてみると、Premiere ElementsでもDVDやBlu-rayのオーサリングが出来るらしい。しかも、一番手間のかかるチャプターの頭を決める作業を、動画編集の画面で行うことができる。しかも、オーサリング作業がDVDとBlu-rayで共通で、最終的なレンダリングの段階で書き出しメディアやフォーマットを決めればよいということがわかる。これは便利だ。なんで今まで気が付かなかったんだろう。

その理由はすぐに分かった。とある理由により、敢えてPremiere Elements 10より新しい版への更新を止めていたのだが、オーサーリング機能をまともに使うには、新しい版にする必要があるようだった。止むなく、購入はしたものの使っていなかったPremiere Elements 14を引っ張り出してきて使ってみる。

Premiere Elements 10で作成していたプロジェクトを14で読み込むと、読み込みそのものは問題なく出来るが、途中でMPEG2のライセンス・コードの確認を求めてくる。ライセンス・コードはAdobeのサイトで得る必要があるのだが、これがまたFlashを使っていて今のPCでは動かない。あちこち探してFlashが動かせるブラウザをまだ持っているPCを見つけてなんとかライセンス・コードを得る。コードの入力は一度で済まず、この後、何度も何度も入力を求められてうんざりする。

一旦落ち着くと、Premiere Elements 14でのオーサリング作業はとてもスムーズだった。やはり古いソフトウェアを使い続けるのは良くない。時代に取り残される。DVDやBlu-rayメディアへの書き込みも問題なく出来たので、量産のためにISOイメージに書き出し、メディア書き出し作業用の別のPCにISOイメージをコピーする。

さて、ISOイメージからメディアへの書き込みを始めようとすると、ここでまた問題が生じる。いつもCDやDVDを焼くのに使っているcdrecordが、Blu-rayに対応していないらしい。ちなみに私はWindows 10の上のCygwinを使っているので、cdrecordもCygwin上のものを使っている。Cygwinのサイトからcdrecordの新しい版を入れてみる。暫くCygwinの更新をしていなかったため、cdrecordだけでなく、Cygwinのベースから更新することになった。これがまた別の大問題を引き起こした。

Cygwinの更新に伴ってPerlも更新され、CDジャケットやレーベルの作成に使っている自作ツールが依存している、PerlのPDF::API2が動かなくなってしまった。PDF::API2が依存する別のライブラリの仕様が変わったらしく、再インストールすらできない。止むなく、PDF::API3に移行することにして、かなり苦労してPDF::API3を導入する。自作ツールの方もPDF::API3に合わせて書き直しが必要になった。

さて、自作ツールの方はなんとかなって、Blu-rayのISOイメージの書き出し作業に戻った。散々苦労してCygwinの更新をしたものの、cdrecordのCygwin版では、Blu-rayに対応していないことが分かる。cdrecordのソースからCygwinに移植しても良いが、ここで実はWindows 7以降、WindowsExplorer自体がISOイメージのメディアへの書き込みに対応していることに気が付く。ISOイメージを右クリックすると出るポップ・アップ・メニューの中に、「ディスク イメージの書き込み」というものがあり、これがCD、DVD、Blu-rayのISOイメージのメディアへの書き込みに対応している。普段メインで使っているPCが、Windows 7から10にupgradeしたもので、さらに以前メディア書き込みツールを導入していた関係で、このメニューが出ないようになっていて、気が付かなかったのだ。

時間も惜しいので、cdrecordの更新は後回しにして、Explorerの機能でBlu-rayを焼くことにする。Blu-rayドライブをつないで焼いてみると、何度もエラーが出て失敗する。ストックのメディアが劣化したのか、ドライブが調子悪いのか、ケーブルがおかしいのか、いろいろ試すがどうもうまくない。調べてみると、どうやらCDやDVDの書き込みはUSBバスパワーで出来るが、Blu-rayの場合はACアダプターを付けた方が安定するということらしい。Blu-rayドライブのACアダプターをなんとか見つけてきて、つないでみると、今までのエラーが嘘のようになくなって、安定して焼けるようになる。

今後、動画の共有でBlu-rayを焼くこともあるかもしれないので、USB3に対応した新しいBlu-rayドライブを買いなおそうと思い、探してみる。今のものは、市販のBlu-rayの映画ソフトを観るために、とりあえず買ったものなので、Blu-rayの書き出し性能については、あまり重要視していなかったのだ。フロント・ローディング方式で、メディアの出し入れの際にスペースを食う点も気に入らなかった。いろいろと調べてみると、PioneerのBDR-XD07LEというモデルが、クラムシェル方式で、USBバスパワーでBlu-rayの書き出しが出来るということなので、早速購入してみる。CDやDVDの書き込みには、長年PanasonicのLF-P968Cを愛用していたが、それに近い感覚でBlu-rayを扱うことが出来て、とても良い。Panasonicはポータブル・ドライブの販売から撤退してしまって、Blu-ray時代の代替品に困っていたが、やっと代わりになるものが見つかった。

BDR-XD07LEの唯一の問題点は、付属するUSBケーブルが短いという点だ。しかも本体側がMicro-type Bというあまり見ないものなので、手持ちのケーブルがない。仕方なく、長めのケーブルを探して購入する。そろそろこういうものは、USB type-Cに統一してもらえないものだろうか。このシリーズの新しいモデルでは、USB type-C対応を謳っているが、本体側のコネクタはMicro type-Bのままで、PC側のUSB type-Aからtype-Cへの変換ケーブルを付属品に加えているだけだ。そうじゃなくて、本体側のコネクタをtype-Cにして欲しいのだ。