Protools 10 on Windows 7 64bit

Protools 9の発売から1年も経たないうちにProtools 10が発売された。Protools 10は32bitアプリケーションとして動作し、Digidesignのハードウェアをサポートする、最後のリリースになるそうだ。
新機能はいくつかあるが、個人的にはSystem 5のconsole機能を取り込んだAvid Channel Stripに期待している。
Avid StoreでProtools 9からのアップグレードを購入して、ダウンロードする。今回からProtools本体と、Avid Virtual Instrumentsが別ファイルになっている。
Protools 10のインストールに先立って、旧版を削除する必要がある。Mbox2のdriverは残したままでよい。
Protools 10とAvid Virtual Instrumentsを導入後、Protoolsを起動すると、特に問題なく動いた。Protools 9で作成したセッションも、問題なく開く。3rd partyのpluginも問題ないようだが、Xpand2だけ音がでない。
Xpand2を使っていたセッションを開くと、XPand2.bigが見つからないというメッセージがでる。これは、c:\Program Files (x86)\Avid\Avid Virtual Instrumentsの下にあるので、Browseボタンを押して場所を指定してやると動く。
Protoolsのアップグレードは、毎回なにかあるなあ。

VideoStudio X4の画像乱れ・音ずれ

デジタルビデオカメラ(Panasonic TM30)を使って撮影したAVCHD動画と、ProToolsで録音した音声を素材に、VideoStudio X4で編集して、音楽物の動画を作成している。
1920x1080のHD動画をノートパソコン(Lenovo ThinkPad T500)で手軽に編集できるのは、10年前には想像できなかった、驚くべきテクノロジの進化の賜物だ。
VideoStudioは、家庭用のビデオ編集ソフトウェアである。気の利いた機能があり、価格も安く使いやすいが、音楽物の動画編集を行う場合は、気をつけるべき点がある。
今回の題材は、楽器を演奏する様子を撮影した動画と、実際に演奏された音声を同期する編集だったので、動画と音声の同期の精度は可能な限り上げる必要があった。もとの動画素材が29.97fpsなので、動画は約30分の1秒の精度での編集となり、+-15ms程度の音ずれは許容する必要がある。
今回は動画撮影時に同期予定の音を流して、ビデオカメラのマイクで録音しながら撮影したので、編集中の動画トラックにも音が入っている。サウンドミキサーの機能を使って、動画に含まれる音声と音声トラックの音声の波形を表示し、音を聴き波形を見ながら、音声素材を移動したり、動画のクリップの長さを調整したりして、動画と音声を合わせていく。
同期が終わったら、タイトルやクレジット、歌詞などの字幕を入れ、動画ファイルの書き出しを行う。この際、VideoStudioには、スマートレンダリングという機能があり、これが標準でONになっている。これは、編集によって内容がまったく変わらないフレームについて、動画ファイルの書き出しの際に再度エンコーディングを行わず、オリジナルのデータをそのままコピーすることで、動画ファイルの書き出し時間を短縮し、オリジナルの動画ファイルの品質を可能な限り保つ機能である。
単純な動画の切り貼り編集の場合はとても便利な機能だが、微妙な音声の同期や、多くの字幕が入る動画の場合、再エンコーディングが行われる部分と、行われない部分のつなぎ目で、フレームが欠落することがあり、画像が乱れたり、それ以降の部分で音ずれが発生する。
現状では、書き出した動画で音ずれが発生する場合は、スマートレンダリングをOFFにするしかない。これは、動画の書き出しの際に、オプションボタンを押すことで、ポップアップ・ウィンドウが現れ、設定を変更することができる。
複雑なビデオ編集を行う際、複数の部品に分けて編集・動画生成し、再度VideoStudioに読み込んで完成品を作るような時に、後半の工程で問題が顕在化することもある。そういう場合は、初期の工程に戻って動画生成をやり直す必要がある。

Protools 9.0.5

Protools 9.0.5のupdateが出ていたので、仕事の切れ目で当ててみた。Protools 9の初期導入時と同じく、Mbox 2 Proを認識しない。どうやら、9.0.5への更新の過程で、導入済みのMbox 2 Proのドライバーが削除されてしまうらしい。
以前も書いたが、Mbox 2 Proのドライバーのインストールをすると、c:\Program Files\Degidesign\Drivers以下にドライバーのインストール・ディスクのイメージが展開される。デバイス・マネージャで「不明なドライバ」と表示されているMbox 2 Proに対して、上記ディレクトリを指定して、ドライバの更新を行う。
あっさり認識されて、9.0.5も立ち上がるようになった。

DAWのレイテンシ

DAWを使ったレコーディングにおけるレイテンシ問題を、外部ミキサーを使って解決することができる。レイテンシを軽減するためのポイント、外部ミキサーの使い方などについて説明する。

DAW 使ったレコーディングでの最も大きな問題はレイテンシ(音の遅延)である。オーディオI/Oに楽器やマイクを接続して、DAWで再生する音を聴きながら、リアルタイムで演奏したものモニタしたり録音したりすると、数10msずれて聴こえたり、録音されたりすることがある。
原因のひとつは、楽器やマイクの音がオーディオI/Oから入り、コンピュータで処理されて、再びオーディオI/Oからモニタに聴こえてくるまでに時間がかかることである。また、もうひとつの原因は、DAWに録音された音を再生する際、ソフトシンセやエフェクタのプラグインを使うと、コンピュータの処理に時間がかかることである。
レイテンシを減らすために、DAWを動かすコンピュータには、十分な処理能力が必要である。CPUの能力、メモリ容量、ディスク容量と速度などについて、可能な限り余裕を持たせることが大切だ。また、DAWを使っている時は、他の処理を行わないようにすることも効果がある。
しかしレイテンシを0にすることは出来ないので、レイテンシがレコーディングの障害にならないようにする工夫が必要となる。
レコーディングを行う場合、不要なプラグインをオフにすることで大幅にレイテンシを減らすことができる。コンプレッサやディレイ、アンプ・シミュレータなど、マスタリングまで不要なものは止めておこう。どうしても止められない場合は、まずエフェクタを掛けた状態の音を一旦バウンスし、単に音声ファイルを再生するだけで期待する音がモニターできるようにしてしまう方法もある。

これから録音する音のレイテンシを劇的に改善するには、DAWとオーディオI/Oを通さないモニタ回路を使う方法がある。別途オーディオ・ミキサーを用意して、楽器やマイクとオーディオI/Oの出力を接続して、これから録音する音と、DAWからの再生音をミックスする。楽器やマイクをつないだチャンネルのダイレクトアウトから録音用の音を取り出し、オーディオI/Oに接続する。
ダイレクトアウトが無い場合は、インサート端子を使うこともできる。インサート端子はステレオ標準プラグをつなぎ、tip (L ch側)から外部エフェクタに音を送り、ring (R ch側)から外部エフェクタからの音を戻せるようになっている。ステレオ標準プラグのtipとringをショートして、モノラルにするようなケーブルを使えば、インサート端子をダイレクトアウトの代わりに使える。Mackie製のミキサーは、インサート端子に標準プラグを半分差し込むことで、このような接続になる仕組みがあるので、練習スタジオでDAWを使ったレコーディングをする場合は、Mackie製のミキサーがあれが活用できる。

上位機種のオーディオI/Oでは、DSPエフェクター/ミキサーを内蔵していて、外部ミキサーを使わなくてもモニター回路を組むことができるものもある。 Pro Toolsを使い始めた時に購入したMbox 2 ProにはDSPは内蔵されていなかったが、現在の後継機種には内蔵されているようだ。現在主に使っているFast Track Ultra 8RにもDSPが内蔵されているので、小規模なバンドの録音ぐらいなら、外部ミキサーを使わずに済ませることもできる。外部ミキサーを使う場合、同時録音チャンネル数が増えると、外部ミキサーとの接続数が増え、機材のセッティングに時間がかかる。作業能率を左右するので、オーディオI/Oを選定する場合は、DSP内蔵かどうかも重要な確認ポイントとなる。

DAW のレイテンシ問題を、外部ミキサーを使って解決する方法について述べた。個人で自宅録音をする目的なら、入門機のオーディオI/Oと小さな外部ミキサーの組み合わせが最適だ。スタジオで小規模なバンドのレコーディングを行うなら、DSP内蔵の上位機種のオーディオI/Oの購入も検討するべきだろう。

Pro Tools 9 on Windows 7 64bit

Pro Tools 9が発売されて、ASIOがサポートされたので、オーディオ・インターフェースの選択肢が増えた。また、Note PCで持ち歩く際に、それぞれの作業場所にオーディオ・インターフェースがあれば、PCだけ持ち歩けば済むので、機動性の向上が期待できる。

Pro Tools LE 8.0.4をWindows 7 64bit環境で動かしてきて、快適だったが、仕事の切れ間に、Pro Tools 9にupgradeすることにした。

Avid StoreでPro Tools LE 8からPro Tools 9へのcross gradeを購入して、ダウンロードする。8からの差分とfull installerが選べるが、後日再installすることを考えて、full installerを選ぶ。

upgradeの前に、driverを最新に更新するように書かれているので、別途ダウンロードして、導入する。

また、Pro Tools 9から、iLokによるライセンス認証が必要になるので、www.ilok.comでPro Tools 9のライセンスをiLokにダウンロードする。

Pro Tools 9のinstallそのものは、順調に終わるが、起動すると、オーディオ・インターフェースが無いと言われて、先に進まない。やむを得ず、一旦停止して、調べると、つながっているはずのMbox 2 Proが見えない。

DriverとPro Tools 9を再度installし直しても、やはり症状が変わらない。

一旦Pro Tools 9を削除して、Driverだけinstallした状態で、C:\Program Files (x86)\Digidesign の下を調べてみると、以下の場所にdriver diskが入っていて、やはりMbox 2 Proは認識されていない。

C:\Program Files (x86)\Digidesign\Drivers\Digidesign Mbox 2 Pro Driver Disk

これはひょっとして、Driverのinstallは、Driver Diskのイメージを展開するだけで、device driverのinstallはやってくれないのか?

というわけで、デバイス・マネージャを開き、「ほかのデバイス」の下に入っていた「Digidesign Mbox 2 Pro」のプロパティから、ドライバの更新を選んで、上記のフォルダを指定して、installしたら、あっさり認識された。

お〜い。これはいくらなんでも不親切だろ〜。

この問題が解決すると、Pro Tools 9もあっさり起動し、8の頃に作ったセッションも全く問題なく読み込め、再生できた。

Protools LE 8.0.4 on Windows 7 64it

ThinkPad T500 (4GBメモリ搭載)のOSを、Windows 7 64bitにupgradeして、Protools LE 8.0.4を動かしてみた。

元はWindows Vista 32bitで、bootとshutdown、sleepなどに時間がかかり、Protools LE自体の起動・停止も遅く、稼働中もよくエラーが出ていた。Protools LE 8.0.4で、Windows 7がサポートされたということなので、この際、HDDも7200rpmのものに入れ替え、OSも64bit化することで、高速化を図ることにした。

Windows Vista 32bitからWindows 7 64bitへのupgradeは、上書きインストールはできず、新規インストールするしかないということなので、OSの設定や、アプリケーションはすべて再インストールする必要がある。

Acronis True Imageを使って、既存のWindows Vista環境のHDDを、ディスクイメージまるごと新しいHDDにcopyする。

新しいHDDに入れ替えて、Vistaが起動することを確認。shutdownして、新しいHDDに新規インストール開始。特に問題なく終了し、Windows 7 64bitが起動する。この段階で、boot、shutdownの速さを実感する。

新規インストールでは、旧OS環境のwindows、program files、ホームディレクトリなどは、c:\windows.oldというディレクトリに移動されるが、それ以外のユーザーデータはそのまま残る。

この後の作業でのトラブルを回避するため、UACを無効にする。通常はポップアップメッセージが面倒なだけだが、Protools用のpluginで致命的なエラーが起きるので、やむをえない。

Lenovoのsiteから、ThinkVantageのsystem updateをインストールする。これがないと、オーディオのボリュームや、ミュートボタンが使えない。

Acrobat readerやら、iTunes (ProtoolsがMP3のハンドリングにQuick Timeを必要とするので)など、よく使うツールをインストールする。

RATOCのIEEE 1394用のPCカードをつなぐ。OSに含まれるドライバであっさり認識される。

Protools LE 8.0.3のfull installation imageをAvidのsiteからdownloadして、インストールする。この段階で、Mbox2 Proを接続して、基本動作確認。問題なし。起動・停止が速い!

また、8.0.4のアップデートもdownloadして、すぐにupdateする。(8.0.4のfull install imageを用意して欲しいなあ。)動作も問題なし。

Protools LEと一緒に使っている、プラグインもひとつひとつ導入して確認する。FXPansionのVST to RTAS adapter v.2.11、REA plugs、Modern plugin、Melodyne editorなど、問題なし。

直接Protoolsからは呼ばないが、VOCALOID2 (巡音ルカ)やFinale 2009もインストールし、問題なし。

何かと使うCygwinteratermも導入。問題なし。CDやDVDを焼くのは、Cygwinからmkisofsとcdrecordでやるのが一番楽なんだよね。

ビデオ関係では、Corel VideoStudio Pro X3、DVD MovieWriter、InterVideo WinDVD、HD Writer AE 1.5などをインストールする。これらはまだ使い込んでいないが、特に問題は出てない。

その他、GIMP 2、OpenOffice 3.2、VLC 1.1.2、FireFox 3.6.8なども導入。問題なし。

Windows 7 64bit環境への移行で、今のところ問題になったのは、HP C5280のCD/DVDラベル印刷ソフトが変わってしまい、動くことは動くのだが、私のニーズを満たさなくなったことだけだ。今後、ラベル印刷は、OpenOffice Drawでやることにしたからいいのさ。

Windows 7 64bit環境にして、OSや、各アプリケーションの動作が速くなったのは、ひとつにはHDDを高速化したというが大きいと思うが、64bit化の効果としてdisk I/Oの改善があるそうなので、相乗効果なのかもしれない。

また、Protoolsの様に、32bitアプリケーションひとつで1GB以上のmemoryを使ってしまいかねないアプリケーションの場合は、すべてのアプリケーションの合計で2GBまでという制約のあるWindows 32bit環境より、64bit環境の方が余裕が生まれるという点も、メリットだと思う。