メタボリックシンドロームとダイエット

昨年の健康診断でついにメタボリックシンドロームと判定され、健康指導を受けることになった。ここ何年かの間、体重が増え、ズボンのウエストがきつくなり、自覚はあったのだが、自分ではどうにもならなかった。客観的な基準値による判定で指摘を受け、適切な指導を受けることで、劇的に改善することが出来るようになった。ダイエットを成功させるコツは、毎日同じ条件で体重を計ることと、自分が食べる主食の量を、グラム単位で自分で管理することだった。

健康指導の場では、主に食生活と、日常的な運動について聞かれた。私は全くと言っていいほど運動していなかったが、食生活については健康的だった。飲酒はせず、間食も少なく、食べるべきものは食べていたので、取り組むべきは炭水化物の摂取量の制限だった。ご飯を2~3口分ほど減らせば、数か月で数キロ体重が減るということだった。半信半疑だったが、取り組むことにした。

実は今までにも、何度も食事の量を減らして体重減に取り組もうと思ったことはある。40歳前は、数キロ減らすぐらいなんともなかった。しかし、40台後半から、同居する母親が作ってくれる食事を食べることが多くなり、母親がご飯やおかずを山盛りにするので、そのまま食べていたら体重が増えてしまったのだ。ご飯を減らしてくれるように頼んでも、減らしてくれるのは数日で、すぐに元に戻ってしまう。仕方がないので、ご飯の重さを計ることにした。母親が普段通りに山盛りにしたご飯の重さを計ると、200gほどあった。2~3口減らして計ってみると150gぐらいになったので、まずは毎日150g計って食べることにした。また、減量の効果を知るために、朝起きてトイレに行ってからすぐに体重を計ることにした。

すると、わずか数日で効果が出た。それまで70kg程度あった体重が69kg台に減った。それなら、ということでご飯の量を120gに減らしてみた。母親はいくらなんでも少なすぎると文句を言っていたが、健康指導を受けているのだからと、押し切った。その後、体重は増えたり減ったりしながらも、段々と減っていった。

1ヶ月ほど経ったころ、母親が脳梗塞を起こして入院してしまった。私は一人暮らしをすることになり、食事も自分で用意するようになった。最初は母親が残した食材や、生協で注文した食材を処分するのに忙しかったが、一通り落ち着いたところで、毎日食べるものを自分で管理できるようになった。母が退院してからも、食事は私が用意しているので、自分が食べる量も管理しやすくなった。

ただ、二人分のご飯を炊き、私は120g、母は自分のペースで食べると、ご飯が余ったり、足りなくなったりするようになった。母は夕飯の際に焚いたご飯の余りを冷蔵しておいて、翌朝と昼に温め直して食べるのが習慣だった。私は朝はシリアルにヨーグルト、昼は食パンを食べることにして、ご飯を食べるのは夕飯だけだった。そこで、私の一食分と母の三食分にちょうど良い量を、まとめて焚くことにした。

母に聞いてみると以前よりだいぶ食が細くなったようで、一食80gぐらいが良いという。120g+80g×3=360gということで、炊きあがりで合計360gのご飯を炊く方法を考えることにした。普通、ご飯を炊く場合、元の米の体積で一合とか二合とか言う量で炊くのであって、炊きあがりの重さを決めて焚いたりはしない。炊きあがりの重さを決めて焚くためには、炊きあがりのご飯の重さから、元の米の量を計算する必要がある。

調べてみると、米を炊いてご飯になると、元の米の2.2倍程度重量が増えるらしい。また、ご飯を炊くときは、重量比で米:水=1:1.44倍程度にするのが良いらしい。つまり、米の重さをk、ご飯の重さをg、水の重さをwとするとき、k、g、wは以下の関係がある。

 

  g=2.2k

  w=1.44k

 

これを解くと、以下のようになる。

 

  k=0.4545g

  w=0.6545g

 

g=360の時、k=163.6、w=235.6となる。家のキッチンスケールはg単位の精度しかないので、米164gに水236gで炊くことにした。

ここで一つ問題があった。米を炊くときは、まず米を研ぐ。米は水につけた途端、水を吸収する。米を炊く際の水の重さには、研いだ米に吸収された水の分も計算に入れる必要があるのだ。ところが、生米の状態で米の重さを計ることはできるし、水だけの重さも計ることは出来るが、研いだ米に吸収された水の重さをだけを計ることは出来ない。

そこで、まずボールを計りに載せて0gにリセットし、米を164g計り、ボールで米を研いで、再度計りに載せ、米と水の合計が164+236=400gになるように水を追加することにした。この方法なら、米に含まれた水分と、追加した水の合計が236gになるように計ることが出来る。

この方法でご飯を炊いてみると、炊きあがりのご飯が+-3g程度の誤差で360gになることがわかった。母に聞いてみると、もう少し柔らかめの方が良いというので、3g単位で水を増やし、最終的には米164gに水247gで炊いている。

こうして食べたい量のご飯を自由に炊けるようになると、つい余分に食べてしまうということがなくなるので、食事制限が簡単になる。同じ要領で、シリアルやヨーグルトも重さで計って食べるようになった。

一定のペースで食べるようになると、お腹一杯に食べていても体重は順調に減り続け、半年で10kg以上減って、高校生の頃の体重である59kg台まで落ちた。おかげでズボンのウエストも緩くなり、スーツを買い替える必要もなくなった。

理想的な体重になると、それを維持する必要がある。毎日同じ条件で体重を計ることで、微妙な体重の増減を把握できる。少し多めに食べたり、外食したり、高カロリーの物を食べたりすると、体重が少し増えるが、翌日少し食事の量を減らして調整すれば、元に戻る。逆に少し体重が減った時は、シリアルの量を増やしたり、ナッツを食べたりすれば、また体重が増える。1日単位でみれば数100gの増減はあるが、一週間単位の平均で見れば、ほぼ59kg後半で安定している。