ナチュラルチーズをホールで買う

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訳あってトーマ・ピエモンテーゼDOPというナチュラルチーズを、ホールで買って毎日食べている。このチーズはイタリア製で、日本では扱っている店がほとんどない。あちこち探して、クオレサルドという会社が扱っていることがわかった。この会社はサルディーニャ島やイタリア本土の食材を取り扱っていて、オンラインショップはないが、ホームページに記載されているメール・アドレスに問い合わせて注文することが出来る。

最初はお試しで1kg単位で注文したが、美味しくてあっという間に食べてしまったので、2回目からはホールで買っている。ホールひと玉の重さは毎回異なるが、だいたい5kg前後だ。賞味期限は2ヶ月ぐらいなので、届いてから8週間で食べきることにしている。

このチーズはセミハードタイプなので、普通の包丁でカットできる。まず半分に切って、それを更に1/16のサイズに切り分ける。1週間に1/16の塊をふたつぐらいのペースで食べれば、8週間で食べきれる。ふたりで食べているので、ひとりあたり毎週1/16の塊をひとつ食べることになる。

ホールは写真でわかる通り円筒形なので、1/16に切り分けるのは難しくないが、1/16に切り分けたものをさらに毎日食べるサイズに切り分けるところが難しい。1/16を1週間で食べるために、7等分する必要があるからだ。

1/16に切り分けて周囲の皮を切り取ったものを、以下のような三角柱だとすると、これをまずふたつに切り分け、それぞれを4つと3つに切り分けることを考えてみた。ある塊を4等分するのは簡単だし、3等分でもまあそれほど難しくはない。三角柱をふたつの塊に切り分けて、後で4等分する方と3等分する方の体積比が、4:3になるようにする必要がある。以下の図の例では、後で4等分する方が、元の三角柱から小さな三角柱を切り出すような形になっている。つまり、切り出した小さな三角柱の体積が、元の三角柱の体積の4/7になっていればよいのだ。

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三角柱の体積は底面の三角形の面積に高さをかけたものになる。つまり、底面の三角形から切り出した小さな三角形の面積が、元の三角形の面積の4/7にする方法を見つければよい。

1/16のチーズの底辺は、元のチーズの底面の円の半径と同じ長さの辺をふたつ持つ、二等辺三角形に近似できる。二等辺三角形の同じ長さの2辺の長さを1、2辺の角度をθとすると、1/16のチーズの底辺の面積はsin θ 1^2 / 2、つまりsin θ / 2と等しい。

底辺の二等辺三角形を頂点からxの長さで小さな二等辺三角形に切り取った場合、小さな二等辺三角形の面積はsin θ x^2 / 2に等しい。

小さな二等辺三角形の面積が、元の大きな二等辺三角形の面積の4/7になるためには、以下の式を解けばよい。

 

( sin θ x^2 / 2 ) / ( sin θ / 2 )= 4 / 7

 

これを解くと、x = √(4/7)となり、x ≒ 0.7559となる。

 

つまり、大雑把に言うと、1/16のチーズの底辺の二等辺三角形の、底辺から頂点に向かって大体1/4のところで切り分ければ、体積比にして4:3に切り分けられるということになる。これもそれほど難しい作業ではない。

実際にやってみると、7つに切り分けたチーズの形は異なるものの、大体ひとつ35g前後になることがわかった。元のチーズが全体で5kg前後なので、2割程度は皮の重さだとすると、5kg * 0.8 / 16 / 7 = 35.7gなので、大体計算は合っている。

切り分けたチーズは丁寧にラップでくるんで冷蔵庫に保存する。切った断面にラップを密着させるのがコツだ。切った断面はカビが生えやすくなるので、最初に半分に切った後は、毎週食べる分だけ切っていき、残りは皮ごとラップにくるんで保存する。

 

ガスパッチョ試作中

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実家のキッチンを整理していたら、ジューサーが出てきた。モーター部分と容器部分が分かれていて、容器部分は大小二種類あり、大きなものはいわゆるジューサーとして使い、小さいものはミルとして使うらしい。早速、バジルの葉をレンジで乾燥させて、ミルで粉にしてみたりして、問題なく使えることを確認した。

前から興味を持っていた料理の中で、スープの類のレシピで、ジューサーを使うものがあった。そのうちジューサーを買おうかと思っていたところだったので、丁度良かった。

季節も夏となり、冷製スープが食べたくなったので、ガスパッチョを作って見ることにした。ガスパッチョはレストランで食べたことしかなかったので、作り方を調べるところから始めた。今まではなんとなく、トマトベースの冷たいスープというイメージだったが、原型はパン、ニンニク、食塩、酢、水だけで作っていたらしい。

まずはトマトベースで作って見る。味が濃い方が美味しいだろうと思って、フルーツトマトを使ってみた。トマトは皮に切れ目をいれて熱湯に20秒ほどつけてから水にさらすと、簡単に皮がむける。皮を剥いてから適当な大きさに切る。トマト以外にもズッキーニやピーマン、玉ねぎなども少し入れると味が複雑になる。色のある野菜はトマトの色を邪魔しないような色の物を選ぶか、皮を剥いてから使うとよい。パンはバケットが良いらしいが、食パンでも良い。耳は使わず、中身の柔らかい部分だけを千切って使う。

材料の一部、特にトマトやズッキーニは、5mm角程度の角切りにして、トッピング用に取っておく。

トマトの皮を剥くのが面倒な場合は、イタリアントマトのホール缶を使うという手もあるが、その場合はトッピング用のトマトが別途必要になるかもしれない。

材料をミキサーに入れて、3秒程度スイッチを入れては止めてを繰り返し、少しずつ混ぜていく。空回りしているようなら、オリーブオイルや少量の水を足すと良い。

材料が混ざったら、味を見ながら塩を少しずつ入れて混ぜる。酸味が足りない場合は、白ワインビネガーを少し加える。塩味と酸味が丁度良くなったら、オリーブオイル、胡椒、ニンニク、クミンなどを加えて混ぜる。

味が丁度良くなったら、ミキサーから器に移して、ラップをかけて、冷蔵庫で冷やす。

食べる前に、トッピング用の材料を散らして出来上がりだ。

トマトベースのガスパッチョが上手く出来たので、トマトを全く使わないものも作って見た。家人が生のケールを大量に買ってきたので、一部はサラダに使い、残りはガスパッチョにしてみた。今度はケールの緑の色を活かすために、トマトは使わず、ズッキーニと黄色パプリカ、玉ねぎ、パンを加えた。

トマトがないと材料の状態で水分が少なく、ミキサーが空回りする。水を50mlほど加えると上手く回るようになった。

味の方もトマトがないと、塩分と酸味に欠けるので、塩と白ワインビネガーで調整する。あとは味を見ながら、オリーブオイル、胡椒、ニンニク、クミンなどを加えて混ぜたら、美味しく出来上がった。

ガスパッチョは基本的な作り方を理解すれば、材料やトッピングの組み合わせで、色々なものが作れるし、色どりも鮮やかなので見た目にも楽しい。

 

かぼちゃのニョッキ

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パスタも好きだしかぼちゃも好きなのだが、この二つを組み合わせたものを作ったことがなかった。ネットでレシピを調べてみると、かぼちゃを生地に混ぜて作るニョッキが良さそうなので、作って見ることにした。

かぼちゃは1人分で100g程度必要なのだが、スーパーで買えるのは1/4カットでも300g以上あるので、ソースにも使い、余ったらサラダにでもすることにする。

ニョッキに合わせるソースはクリーム系のレシピが多く、大抵生クリームか牛乳を使っている。生クリームや牛乳なしで作れるものを探してみると、チーズを使う方法が応用出来そうだと分かった。ソースにもかぼちゃペーストを入れるとすると、大分甘めになるので、チーズは塩味の強いゴルゴンゾーラ・ピカンテを使うことにした。

かぼちゃの1/4カットを種を取って一口大に切り分け、耐熱容器に入れて水を50ccほど入れ、ラップをしてレンジにかける。レンジはかぼちゃ100gあたり2分ぐらいで火が通る。

かぼちゃをボールに移して水気を切り、皮ごとフォークで潰してペースト状にする。ニョッキ用に100gを別のボールに移し、薄力粉30gを加えて混ぜる。一塊になったら手にとってみて、柔らかければ薄力粉を、固ければかぼちゃを少し加えて、固さを調整する。

生地を半分ぐらいに分けてそれぞれ棒状に伸ばし、打ち粉をして2cm程度の長さに切り分ける。切り分けた生地を手で丸めて、フォークの先に当てて軽く押しつぶし、筋をつけてニョッキの形にする。打ち粉をしたパレットにくっつかないように並べる。

水1リットルに10gの塩を入れて火にかけて沸騰させ、ニョッキを入れる。底にくっつかないように軽く混ぜておく。最初は底に沈むが、火が通ると浮いてくるので、すくってボールに移し、水気を切ってオリーブオイルをかけ、良くなじませておくとくっつかない。茹でたお湯はソースに使うので、捨てずにとっておくこと。

ソースはまずフライパンにオリーブオイル30mlを入れ、ニンニクと唐辛子を少々加えて火を入れる。ぷつぷつと泡立ってきたらベーコンを50g入れてさっと炒める。白ワインを30ml加えて弱火にし、蓋をして5~10分ほど蒸し焼きにする。

そこへゴルゴンゾーラ・ピカンテを30gほど細かくちぎりながら加え、チーズが溶けた頃にかぼちゃペースト100gを加えて良く混ぜる。固ければニョッキの茹で湯を加えて固さを調整する。

ソースが出来たら、ニョッキを加えて良く混ぜ、ニョッキが温まったら出来上がり。

余ったかぼちゃペーストはそのままサラダにして食べてもいいし、小麦粉を加えてオーブンで焼けばかぼちゃクッキーになるみたいだから、今度作って見ようと思う。

非登録の番号からの着信を受けないのが最も有効な詐欺対策

離れて暮らす親御さんがいる方は、是非親御さん宅の振り込め詐欺対策を考えて欲しい。私は実家で母親と暮らしているが、わずか10時間程度の外出中に、母が振り込め詐欺の被害に遭いそうになったことが、過去二回もある。しかも、二回とも私が帰宅後に事情を聴き、裏付けを取って説明するまで、完全に騙されて詐欺師の話を信じ切っていた。
母は振り込め詐欺について全く無知なわけではない。テレビや新聞で被害事例の話などを見聞きし、なんでそんな話を信じるのかと笑っていたほどだ。私も最初は理解できなかったが、母の話を聞いて分かった。
日常的にスマホを使っていると、スマホの進化に比べて電話機の進化のなさや、電話としての使い方の違いに驚く。スマホの場合は頻繁にやり取りする相手の電話番号やメールアドレス、メッセージIDを登録しておくのが当たり前だが、電話機の場合はそうした機能がないものもあるし、機能があってもおよそ使いやすいとは言い難い。スマホなら頻繁にやり取りする相手との連絡手段はメッセージが中心で、電話はおろか、メールすら使う頻度が減っている。スマホでも知らない相手からのメッセージやメールは来るし、詐欺やフィッシングなどのリスクもあるが、同時にリスクにかかわる情報も共有させるために、騙されたと気づくまでの時間は短い。一方、固定電話を主に使いづつけている世代は、電話が鳴れば相手が誰だかわからなくても取り合えず電話を取って話を聞くのが普通なのだ。
母は固定電話に着信があると、取ってしまう。ナンバーディスプレイ対応ではないので、相手が誰だか分からない状態で取ってしまうし、それが当たり前なのだ。スマホに慣れた私には考えられない感覚だ。私の感覚では知り合いとのやり取りはメッセージを使うし、込み入った内容でもメールで済むし、余程リアルタイムで話す必要があるものでないと電話などしない。なので、番号非通知の場合はもちろん、未知の番号から突然かかってきた電話など、まず取ることはない。取らなくても留守番電話に残されたメッセージで重要度は分るし、メッセージも残さないような相手はこちらから電話する必要すらないのだ。
また、80歳を超えた母は耳が遠く、相手の声から相手が誰だか分からない。分からないから、推測して相手の名前を言ってしまう。こうして、詐欺師はやすやすと母の近親者の名前を手に入れてしまうのだ。一旦そうなると、母も相手のことを全く疑わなくなってしまう。つまり、詐欺師からすれば相手が番号非通知の電話を取ってくれさえすれば、もう騙すことに成功したようなものだ。
もはや電話は、相手が誰だか分からない状態で受けるべきものではないのだ。私は二回目の詐欺未遂の後、母にiPhoneを持たせ、実家の固定電話にナンバーディスプレイ対応電話機を導入し、常に留守番電話モードにし、未登録の番号や、番号非通知の電話からの着信には出ないように、何度も言い聞かせている。それ以降、詐欺に脅かされることは全くなくなった。
80歳を超えてからでもiPhoneは使える。もちろん、若い世代のように色々な機能を使うことはできないかもしれないが、標準機能で文字を大きくできるから十分に見えるし、電話をかけたり、SMSを読んだりすることぐらいはできる。母にはiPhoneの前に老人向けのガラケーを渡したこともあったが、全く使えなかった。また、Android系は同一メーカーでも世代が変わると使い勝手がまるで変ってしまうので、老人には使いづらい。母は脳梗塞を起こして体が動かない状態で、iPhoneを使って私に電話で助けを求めてきてくれた。まともに話せなくてもそれだけで私は119番に電話して、母を救うことができた。
詐欺に会うと、経済的被害の大小とは別に、精神的なダメージがとても大きい。相手はプロなので騙されても仕方ないところはあるのだが、大抵の人は自分は大丈夫と思っていて、騙された後、無力感や罪悪感に苛まされる。電話がかかってきたり、ドアのベルがなる度に、怯えるようになる。
あなたの親がそんな惨めな状態陥ってしまうことを防げるのは、あなたしかいない。

たまごでふわふわ

毎日卵をひとつ食べることにしている。母が元気だったころは、毎日卵ふたつ使ってオムレツを作っていたが、そのうち健康診断で卵の量を減らすように言われたらしく、1日ひとつになった。さらにそのうちオムレツが面倒になったらしく、生卵を飲むようになった。私が炊事をするようになってからも、毎日卵を一人ひとつを踏襲しているが、生卵も飽きてきたので、何か簡単に出来るレシピはないものか探してみた。

最初に見つけたのはレンジで作るオムレツというものだった。卵はレンジに入れてはいけないという感覚だったが、黄身をくずしておけば問題ないらしい。卵をひとつ耐熱容器に割って、つゆを大さじ一杯、水を大さじ一杯加える。攪拌してレンジで100秒程度加熱すると出来上がりだ。

加えるものは、つゆやだし、醤油など、味付けになるならなんでもよい。水を合わせて30ml程度にするのがポイントで、醤油なら水を多めにするとちょうどよい味になる。ニラや三つ葉を少し散らすとさらにそれらしくなる。二人分同時に作る場合は加熱時間を倍にすればよい。最初からひとり分ずつ容器を分けておけば、取り分ける手間もない。

レンジで卵料理ができることを知って、さらに探してみると色々なレシピが見つかった。面白いのは卵とチョコレートだけでガトーショコラを作るというものだった。ガトーショコラのレシピはもっと色々な材料を使い、オーブンで加熱するものと思っていたが、卵とチョコレートの材料でレンジだけでも出来るらしい。まず卵をひとつ白身と黄身に分け、白身を攪拌してメレンゲにする。次にチョコレート50gをレンジで1~2分加熱して溶かし、ほぐした黄身と混ぜ合わせる。そこへメレンゲを1/3ずつ加えてはヘラで優しく混ぜ合わせる。出来上がった生地を耐熱容器に入れて1~2分加熱すれば出来上がりだ。ただし、360kcal程度になるので、ふたりで分けて食べるか、半分ずつ2日で食べるぐらいにしておいた方が良いだろう。冷蔵庫で保存しても翌日美味しく食べられる。温めて食べる時はレンジで20~30秒程度加熱すればよい。何せ材料がチョコレートと卵だけなので、素材の味がそのまま出来の良し悪しに反映される。美味しいチョコレートを選ぶ必要がある。お勧めは明治のThe Chocolateのベネズエラ70%だろう。55%はだめ。ひと箱まるごと入れるとちょうど50gになる。

レンジだけでケーキが作れると分かってさらに探してみると、卵と小麦粉と砂糖と何かで、レンジだけでシフォンケーキを作るというレシピもあった。先のガトーショコラのレシピのチョコレートに変えて、小麦粉20gとオリーブオイル15mlと味のある水分を20ml程度加えればよい。つまり、卵と50g程度の何かクリーム状のものをレンジで加熱するとケーキが出来るという仕組みらしい。紅茶シフォンケーキなら紅茶の葉に少量の水を加えてレンジで加熱して加えればよいし、コーヒーなら少量のお湯でとても濃く入れたコーヒーに挽いたコーヒー豆を加えればよい。シフォンケーキの場合は最終的にレンジで加熱した後、耐熱容器ごとお皿の上にさかさまにして伏せて冷ましておくと、適度に耐熱容器から外れ、縮まずに済む。

卵を使った料理でもうひとつ良かったのは、カルボナーラだ。以前イタリアン・レストランで生クリームを使わないカルボナーラが美味しかったので、それに近いレシピを探してみたら、いくつも見つかった。いくつか調べて、いいとこどりをして作って見た。

まずパスタを茹でるためのお湯を沸かし、お湯に対して1%の塩を入れる。次にフライパンにオリーブオイルを温め、唐辛子とニンニクを入れてオイルに香りを移す。ベーコンを入れ、フライパンに蓋をして弱火で10分ほど蒸し焼きにする。お湯が沸いたらパスタを茹で始める。待っている間に卵を白身と黄身に分け、白身を攪拌してメレンゲにする。黄身に粉チーズを30gほど和え、メレンゲを1/3ずつ加えて優しく混ぜる。パスタが茹で上がったらフライパンに移してベーコンと和える。フライパンの火を止めて、卵液を入れ、優しく和えてから弱火で火を入れる。水分が少しとろりとなったところで火を止める。お皿に盛って、胡椒を振って出来上がりだ。生クリームを使う代わりに卵白をメレンゲにすることで、卵白を無駄にせず、水っぽくもせず、柔らかい食感を出している。



大量のじゃがいもを消費する

母がコープデリで誤発注をして、大量にじゃがいもが届いた。捨てるのももったいないので、じゃがいもを大量に使う料理を探して作って見ることにした。母も私も毎日決まったメニューを食べ続けても飽きないので、こういう理由でもなければ新たなおかずを作ることも無い。偶然がもたらす変化も悪くない。

最初に思いついたのは肉じゃがだ。リンナイのデリシアに付属のレシピ本には、無水料理で肉じゃがを作るレシピが載っていたので、それを作って見た。無水料理はデリシアに付属のザ・ココットという蓋つき鍋を使う。野菜から出る水分を熱水蒸気にして調理する仕組みなので、玉ねぎのみじん切りを鍋の底に敷く。その上に肉を敷き、一番上にじゃがいもやにんじんの乱切りを載せる。さらに調味料として醤油と酒、みりんなどを回しかけて、蓋をして、コンロに載せる。最後に自動調理メニューから無水調理を選び、沸騰後の調理時間を40分にセットしてコンロの火をつけるだけだ。

最初は強火で加熱するが、玉ねぎから出た水分や調味料が沸騰し始めたら自動的に弱火になり、指定した時間維持される。自動調理が終わったら、蓋を開けて中身をゆっくりとかき混ぜて、再度蓋をしてしばらく放置しておくと、余熱で味が材料に均等に染みわたって美味しく出来上がる。

肉じゃがの材料の牛肉を豚肉や鶏肉、魚の切り身などに変えてみたが、塩鮭が良かった。甘塩より強めの塩味のものがよい。塩鮭の味でじゃがいもが美味しくなるし、鮭の塩味がいい塩梅に抜けて美味しくなる。鮭の場合は40分だと加熱しすぎなので、20分ぐらいが良い。ただ、それだとじゃがいもに火が通らないので、じゃがいもは100gあたり2分ぐらいの見当で、先にレンジで火を通しておく必要がある。また、じゃがいもは乱切りよりも輪切りの方が味が染みやすく、食べる時も鮭と一緒に食べやすい。

デリシアのレシピには無水カレーというのもある。レシピではじゃがいもは使われていないが、じゃがいもを入れても美味しく出来る。これもレシピの鶏肉を色々変えてみたが、牛すね肉が美味しかった。市販のカレールーをそのまま使えるのが楽だが、野菜の旨味で甘くなるので、辛いのが苦手な人でも中辛のルーぐらいで丁度良い。

煮物以外では、トルティージャ(スペイン風オムレツ)が良かった。玉ねぎとじゃがいもをいちょう切りにしてフライパンで炒め、卵液と混ぜてからフライパンで両面を焼く。玉ねぎとじゃがいもを炒める時は蓋をして弱火で40分、卵液と混ぜて焼くときも蓋をして弱火で7分ほど、蒸し焼きのようにするのがコツだ。

ひき肉やほうれん草などを入れても美味しい。卵なしで細切りにしたじゃがいもをフライパンで焼いて、円盤状に固めて仕上げるガレットも美味しそうなので、今度試してみようと思う。

メタボリックシンドロームとダイエット

昨年の健康診断でついにメタボリックシンドロームと判定され、健康指導を受けることになった。ここ何年かの間、体重が増え、ズボンのウエストがきつくなり、自覚はあったのだが、自分ではどうにもならなかった。客観的な基準値による判定で指摘を受け、適切な指導を受けることで、劇的に改善することが出来るようになった。ダイエットを成功させるコツは、毎日同じ条件で体重を計ることと、自分が食べる主食の量を、グラム単位で自分で管理することだった。

健康指導の場では、主に食生活と、日常的な運動について聞かれた。私は全くと言っていいほど運動していなかったが、食生活については健康的だった。飲酒はせず、間食も少なく、食べるべきものは食べていたので、取り組むべきは炭水化物の摂取量の制限だった。ご飯を2~3口分ほど減らせば、数か月で数キロ体重が減るということだった。半信半疑だったが、取り組むことにした。

実は今までにも、何度も食事の量を減らして体重減に取り組もうと思ったことはある。40歳前は、数キロ減らすぐらいなんともなかった。しかし、40台後半から、同居する母親が作ってくれる食事を食べることが多くなり、母親がご飯やおかずを山盛りにするので、そのまま食べていたら体重が増えてしまったのだ。ご飯を減らしてくれるように頼んでも、減らしてくれるのは数日で、すぐに元に戻ってしまう。仕方がないので、ご飯の重さを計ることにした。母親が普段通りに山盛りにしたご飯の重さを計ると、200gほどあった。2~3口減らして計ってみると150gぐらいになったので、まずは毎日150g計って食べることにした。また、減量の効果を知るために、朝起きてトイレに行ってからすぐに体重を計ることにした。

すると、わずか数日で効果が出た。それまで70kg程度あった体重が69kg台に減った。それなら、ということでご飯の量を120gに減らしてみた。母親はいくらなんでも少なすぎると文句を言っていたが、健康指導を受けているのだからと、押し切った。その後、体重は増えたり減ったりしながらも、段々と減っていった。

1ヶ月ほど経ったころ、母親が脳梗塞を起こして入院してしまった。私は一人暮らしをすることになり、食事も自分で用意するようになった。最初は母親が残した食材や、生協で注文した食材を処分するのに忙しかったが、一通り落ち着いたところで、毎日食べるものを自分で管理できるようになった。母が退院してからも、食事は私が用意しているので、自分が食べる量も管理しやすくなった。

ただ、二人分のご飯を炊き、私は120g、母は自分のペースで食べると、ご飯が余ったり、足りなくなったりするようになった。母は夕飯の際に焚いたご飯の余りを冷蔵しておいて、翌朝と昼に温め直して食べるのが習慣だった。私は朝はシリアルにヨーグルト、昼は食パンを食べることにして、ご飯を食べるのは夕飯だけだった。そこで、私の一食分と母の三食分にちょうど良い量を、まとめて焚くことにした。

母に聞いてみると以前よりだいぶ食が細くなったようで、一食80gぐらいが良いという。120g+80g×3=360gということで、炊きあがりで合計360gのご飯を炊く方法を考えることにした。普通、ご飯を炊く場合、元の米の体積で一合とか二合とか言う量で炊くのであって、炊きあがりの重さを決めて焚いたりはしない。炊きあがりの重さを決めて焚くためには、炊きあがりのご飯の重さから、元の米の量を計算する必要がある。

調べてみると、米を炊いてご飯になると、元の米の2.2倍程度重量が増えるらしい。また、ご飯を炊くときは、重量比で米:水=1:1.44倍程度にするのが良いらしい。つまり、米の重さをk、ご飯の重さをg、水の重さをwとするとき、k、g、wは以下の関係がある。

 

  g=2.2k

  w=1.44k

 

これを解くと、以下のようになる。

 

  k=0.4545g

  w=0.6545g

 

g=360の時、k=163.6、w=235.6となる。家のキッチンスケールはg単位の精度しかないので、米164gに水236gで炊くことにした。

ここで一つ問題があった。米を炊くときは、まず米を研ぐ。米は水につけた途端、水を吸収する。米を炊く際の水の重さには、研いだ米に吸収された水の分も計算に入れる必要があるのだ。ところが、生米の状態で米の重さを計ることはできるし、水だけの重さも計ることは出来るが、研いだ米に吸収された水の重さをだけを計ることは出来ない。

そこで、まずボールを計りに載せて0gにリセットし、米を164g計り、ボールで米を研いで、再度計りに載せ、米と水の合計が164+236=400gになるように水を追加することにした。この方法なら、米に含まれた水分と、追加した水の合計が236gになるように計ることが出来る。

この方法でご飯を炊いてみると、炊きあがりのご飯が+-3g程度の誤差で360gになることがわかった。母に聞いてみると、もう少し柔らかめの方が良いというので、3g単位で水を増やし、最終的には米164gに水247gで炊いている。

こうして食べたい量のご飯を自由に炊けるようになると、つい余分に食べてしまうということがなくなるので、食事制限が簡単になる。同じ要領で、シリアルやヨーグルトも重さで計って食べるようになった。

一定のペースで食べるようになると、お腹一杯に食べていても体重は順調に減り続け、半年で10kg以上減って、高校生の頃の体重である59kg台まで落ちた。おかげでズボンのウエストも緩くなり、スーツを買い替える必要もなくなった。

理想的な体重になると、それを維持する必要がある。毎日同じ条件で体重を計ることで、微妙な体重の増減を把握できる。少し多めに食べたり、外食したり、高カロリーの物を食べたりすると、体重が少し増えるが、翌日少し食事の量を減らして調整すれば、元に戻る。逆に少し体重が減った時は、シリアルの量を増やしたり、ナッツを食べたりすれば、また体重が増える。1日単位でみれば数100gの増減はあるが、一週間単位の平均で見れば、ほぼ59kg後半で安定している。